Vol.02
コンポジット
プロジェクト
低炭素社会の
実現に向けて
コンポジット
プロジェクト室
技術開発一部
プロセスグループ
製品・取組について
お教えください。
コンポジットプロジェクト室は、主に炭素繊維強化樹脂(CFRP)に関する成形システムや設備、成形品の開発を進め、事業化につなげていく取り組みを行っております。
なかでもクリモトコンポジットが目指すのは、量産に適したCFRPの生産システムと成形品の創出で、Carbon-LFTD、ハイサイクルRTM、CFRP引抜成形という各システムのデモラインをクリモトコンポジットセンター内にて稼働させています。
コンポジットセンターでは、これらの各デモラインを稼働させて実際に成形することで、顧客や素材メーカ、金型メーカ等と協力しながら、将来的なCFRP量産に向けて取り組んでいます。
クリモトの強みは?
クリモトの最大の強みは、「製造システム・設備」と「成形品」の両方について技術・ノウハウを持っていることです。機械システム事業部は、プレスや混練装置等の製造設備メーカーとして、独自の技術・ノウハウを保有しています。一方、化成品事業部は、ガラス繊維と熱硬化性樹脂を使用したFRP製品を40年以上にわたり製造しており、成形品サプライヤーとして長年の実績があります。これら設備と成形品というコア技術をもとに、CFRPパーツの「設計・試作」にとどまらず、「製造システム・設備」や「成形品量産」までの一貫したソリューションを提供します。
また、クリモトコンポジットセンターには、量産検討ができる試作デモラインがあり、実際に成形できることも当社の大きな強みとなります。お客様の要望に応じた試作検討ができるコンポジットセンターは国内に例を見ないCFRPの開発拠点です。
事業化の経緯について教えてください。
地球温暖化防止を背景に、世界各地で二酸化炭素の排出規制が段階的に強化され、特に自動車においては、より一層の燃費向上が求められています。車両の軽量化は、ガソリン車や電気自動車等に関係なく、いずれも燃費向上のためには不可欠といえます。そのような状況の中、金属よりも軽くて強いCFRPは新たな軽量化素材として注目されています。既に軽量化の重要性が高い航空・宇宙分野やスポーツ分野等では、CFRPの採用が進んでいますが、これらのCFRPパーツは、高価な原材料を使用し、熟練者による手作業によって、一品ごとに時間をかけて製造されているため、コストが高く、一般的な商品に広く採用されるまでには至っていません。クリモトでは、CFRP成形のコスト・品質・生産性の課題を解決するため、独自の設備技術と成形技術をもとに、安価な材料を使用した、成形時間の短い、オートメーション化されたCFRP量産成形システムとそれを適用した成形品について、開発・事業化を開始しました。
製品開発において苦労していることを教えてください。
軽量化が検討される部品のほとんどは鉄やアルミなどの金属でできています。当然ながらそれらの部品は、金属材料に最適な製造法・形状を十分検討されたうえでデザイン・設計されています。一方、CFRPは、均質的な金属とは異なって、複数の素材の組み合わせによる複雑な材料となります。そのため、金属製品に最適な形状をそのままCFRPに置き換えても、十分な軽量化効果は発揮できず、コストも必要以上に高くなってしまいます。CFRPパーツに求められる仕様や生産数、許容コストを見極め、その条件に最適なデザイン、製造法、材料等を検討し、選択していく必要があります。
このようにCFRPの特長を発揮させるためには、単なる素材の変更だけではなく、デザイン・コンセプトの再検討が必須であり、そのためには「CFRP」と「機械部品設計」両方の専門的な知見が不可欠となります。この点が、本格的なCFRPパーツの採用・普及のための大きなハードルの一つであるといえます。クリモトでは、独自の技術・ノウハウを蓄積しつつ、それをもとにしたお客様や提携企業との協力が重要と考えています。
今後、事業をどうしていきたいですか?
2019年には、大型パーツの試作ができる新たなコンポジットセンターが開設されます。そこには、クリモトが開発した大型試作用プレスや量産化を見据えたオートメーションラインなど、クリモトの110年の歴史で培った技術・ノウハウを盛り込んだ新規デモプラントが設置される予定です。この新たなセンターを拠点とし、クリモトの成形システム・設備・成形品によって本格的なCFRPの普及を促進し、CFRP量産技術のパイオニアとして、低炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。
https://www.kurimoto.co.jp/composite/cfrp/ Carbon-LFTD【カーボン・エルエフティーディー】 混練機の中で炭素繊維と熱可塑性樹脂を混練し、その混練物をプレス機で成形するシステム。
https://www.kurimoto.co.jp/composite/solution/clftd.html ハイサイクルRTM【ハイサイクルアールティーエム】 プレス金型内等に積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、プレス機により加熱硬化させる成形システム。
https://www.kurimoto.co.jp/composite/solution/hcrtm.html 引抜成形【ひきぬきせいけい】 連続繊維に樹脂を含浸させて金型に引き込み、加熱硬化させて成形する製造方法。
https://www.kurimoto.co.jp/composite/solution/parts-pultrusion.html