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水素吸蔵合金の高性能化処理
高速遊星ボールミルを適用した水素吸蔵合金の高性能化処理

当社は龍谷大学・大柳教授と共同で、水素吸蔵合金の水素放出速度を向上させ、放出温度を低減させる新規な処理方法を開発しました。

当社の高速遊星ボールミルは、遊星歯車を適用した独自構造により、重力加速度150Gの非常に強力な衝撃力を発生でき、高密度な機械的エネルギーを試料に与えることが可能であります。この処理方法は、高速遊星ボールミルによる高エネルギー処理に粉砕助剤を組み合わせたものであり、極短時間で水素吸蔵合金をナノレベルの微細構造化することができます。また、水素吸蔵合金の一つであるMgH2を対象とし、Al2O3を粉砕助剤とした場合、約10分間の処理にて水素放出の開始温度を従来の300℃から220℃まで低減することができました。

遊星ボールミルを用いた水素吸蔵合金の微細化処理は従来例があります。しかし、一般的な遊星ボールミルの重力加速度は30G程度であり、Al2O3のような粉砕助剤は添加されていませんでした。その場合、微細化処理には一昼夜の時間を要しており、今回の処理方法はナノ微細化の実用性を大きく向上させたと言えます。

高エネルギー処理に加え、粉砕助剤を添加して処理の効率を向上させたことが、今回の短時間処理での水素吸蔵合金の性能向上につながったと考えられます。現在、粉砕助剤の効果解析や触媒添加等の検討を続けており、更なる水素放出温度の低減を目指した開発を継続させています。

なお、水素吸蔵合金は燃料電池自動車の水素源(水素タンク)等、来るべき水素社会での水素吸蔵材料として日、米、欧を中心に研究開発が進められています。現在実用化されている水素吸蔵合金はLaNi5であるが、水素吸蔵量が1.3wt%と小さく、水素タンクの吸蔵材料等としては実用化が進んでいません。そのため、水素吸蔵量が大きな合金化開発が従来から進められていました。MgH2(水素吸蔵量約7%)もその開発成果の一つでありますが、吸蔵量の大きな合金は水素放出温度が高温であり、放出温度を室温近くまで下げる必要がありました。今回の成果は現在開発されている合金材料の水素吸放出性能を向上させることが期待でき、今後の研究開発の進展により、大きな吸蔵量を持つ実用的合金開発へとつながる可能性を秘めていると考えています。

クリモト ハイジー(高速遊星ボールミル)
 
MgH2-Al2O3の微細構造
MgH2-Al2O3の微細構造
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